研究期間:2018年4月〜2023年3月 (2年の期間延長)
研究代表者:古川雄一(中京大学)
研究成果 (2020年度~)
昨年度までに所期の目的は達成済みなので, 今年度は, プロジェクトのテーマを拡張して, 本プロジェクト成果から生まれる, 新たな研究の方向性を模索した. 例えば, 最低賃金制度に関する分析を行い, 最低賃金のイノベーションへの効果は, 企業タイプによって異なることを明らかにした. 特に, 最低賃金を引き上げると, 国内生産の投入物を使用する企業のイノベーションは減少するが, 外国製の輸入投入物を利用する企業のイノベーションは増加する. 中国のデータを使用した実証分析も行った. (当該年度の, 共同研究先は, リバプール大学(イギリス), 復旦大学(中国), ザンクトガレン大学(スイス), 中国文化大学(台湾)などが含まれる.)
公刊論文:
研究成果 (2019年度)
大きく2つの分析を行った。1つは、インフレがマクロレベルの所得格差、イノベーション、経済成長に与える影響を見たもので、インフレ率の上昇は、R&D企業の参入行動に影響を与えることで、経済成長と所得格差に対していわゆる逆U字型の効果を持つことが、定性的に明らかにされた。また、定量的に、経済厚生を最大化するインフレ率の値を求めた。
もう1つは、インフレーションと失業の長期的な関係を分析した研究で、労働市場にマッチングによる摩擦を考えた。R&D投資を行うときに、現金を先払いしなくてはいけない制約 (CIA制約)を通じて、インフレ率の上昇は、イノベーションと成長を抑制し、失業を増加させる効果を持つ。消費をする際のCIA制約を通じては、インフレ率の上昇は、失業を減らす効果がある。この結果をサポートする実証分析・定量分析も行った。
以上の研究成果の大部分は、所期の計画通り、国際共同研究に基づいている。共同研究先は、リバプール大学(イギリス)、復旦大学(中国)、ザンクトガレン大学(スイス)、中国文化大学(台湾)、IESEG 経営大学院(フランス)など......
公刊論文:
研究成果(2018年度)
金融政策が経済成長に与える影響について定性・定量両面から分析を行った。そのために、企業が研究開発(R&D)投資を行う際、事前にある程度の現金を保有している傾向がある(Cash-in-advance 制約)という実証結果に従い、インフレーションをイノベーションに基づく内生定期市長モデルに組み込んだ。大きく2つの分析を行った。
これらの研究成果は国際的に定評のある査読付き学術雑誌に掲載されたか、あるいは、ディスカッション・ペーパーとして公表されている。この研究に加えて、本研究計画の発展に新たな方向性をもたらすような、国民性のマクロ経済への役割など注目したいくつかの論文を執筆、ディスカッションペーパーとして公開した。なお、以上の研究成果の大部分は、所期の計画通り、国際共同研究に基づいて進行している。共同研究先は、復旦大学(中国)、ザンクトガレン大学(スイス)、中国文化大学(台湾)、IESEG 経営大学院(フランス)などが含まれる。
公刊論文 (2018)